「ほえ〜。作業療法士っていう仕事おもしろそうやなぁ。」
と、内心焦りながらも余裕の表情を浮かべながら思った31歳の1月。
私は生まれたての無職だった。
私はそれまで、新卒で入社した会社で、AI系のシステムエンジニアとして、6年半ほど働いていた。
しかし、ある日突然、幼児が駄々をこねるように「なんかもぉ、やだぁ〜」と思って、それっぽい前向きな理由をつけて円満退社をし、生まれたての無職となった。
生まれたての無職というのは、か弱くもあり、恥ずかしくもあり、ときめきもあり、とにかく、ときめきメモリアルなのであった。
そんな中で、次の仕事を探していたときに、”ふぁさぁっ”と落ち葉が舞い落ちるように目に飛び込んできたのが「作業療法士」という仕事なのであった。
作業療法士になりたいと決意したのが、2023年の1月。
私は遅刻寸前のお寝坊中学生のように、慌てて作業療法士の学校を探し、専門学校を受験し、合格し、入学し、筋トレし、なんやかんやし、もうすぐその専門学校に入学してから1年が経つ。
解剖学、運動学、生理学、作業療法理論、精神医学、病理学、神経内科学、人間発達学、小児科学、なんちゃら学、濱田岳。などなど、この1年でいろいろなことを学んだ。この1年というのは、長いようで短くもあり、小倉から博多までの新幹線のように、あっという間に過ぎ去った。
私が通っている専門学校は3年制の昼間部で、クラスの人数は20数名ほどで、定員割れをしており、誰でも入学できるような状況であった。
入学前は、「高卒の若人(わこうど)たちの中でうまくやっていけるやろか」と眠れない日々を送っていたが、クラスには40代の主婦や30代後半のお兄さん、おっさん風の高卒生など様々な学生がおり、あまり年齢のことを気にする必要はなかった。高卒の若人たちが大半であるが、クラスの3割程度は私のような社会人経験者であった。
2024年は、より専門的な科目が増え、実習もさりげなく入ってくる。「作業療法士になりたい」という、あのとき感じたバイブスを忘れずに、あと2年間の学校生活をあけすけに頑張っていきたい。